野中橋(のなかばし)

野中橋は、三重地区内を西から東へと流れる海蔵川(二級河川)のほぼ中央に架かり、右岸の旧千種街道と交わる。明治8年(1875年)、千種街道沿いに坂部学校(現三重小学校)ができ、明治22年三重村創立以来、村 役場や郵便局などが近くに置かれたことなどから、村内の交通の要衝として重要な役割を果たしてきた。

最初に架けられたときの記録はないが、古くから東坂部をはじめ多くの人々の往来に使われてきたと思われる 明治6年の『東坂部村明細書』には「板橋・長さ17間(30.9m)幅5尺(1.5m)」の記載があるが、これが野中橋 に当たると思われる。以来、数度にわたり架け替えられ、現在の橋は海蔵川の河川改修に伴い、平成6年(199 4年)に架け替えられた鉄筋コンクリート製の永久橋である。

昭和30年代までこの辺りの海蔵川の堤防は、春は桜の名所で、夏は蛍が飛び交う自然の豊かな川堤であっ た。その後、桜堤はなくなり、川の汚れも進んで往時の面影はなくなった。現在の橋の欄干には、自然環境の回 復を願って、ホタルをデザインした装飾が施されている。今回の河川改修に伴い、自然を生かした堤防造りや下 水道の普及など川の汚染も改善され、いまでは魚影も多く、水鳥の憩いの場となっている。
   
                       野中橋     平成6年11月 完成

       橋長 48.6m   幅員  道幅 5.0m  歩道 2.5m                       

                設計荷重 20t  橋種 ポステンションT桁橋